文章を理解するための手順
説明的文章には、説明文・論説文・評論文などがあります。これらの文章を理解するためには次の手順を踏むことが大切です。
- 文章題に注目し、何について述べようとしている文かを予測します。読み進めながら、文章題と関連したことがら、繰り返し出てくる語句、または類語に注目します。
- 接続語の働きに着目し、文脈の流れをつかみます。
- 指示語の指し示す内容を的確にとらえ、文章の意味をつかみます。
- 段落の中心文をもとにして、段落の要点をつかみます。要約の仕方を理解することが必要です。
- 段落の要点や段落初めの言葉を手がかりとして、段落相互の関係をとらえ、文章全体の構成をつかみます。
- 各段落の要点をまとめて、さらに文章全体の要旨をつかみましょう。
以上の鉄則を踏まえて、多様な文章に触れていくことにしましょう。
基本⑴ 一段落の中から中心文をぬき出しましょう
1 次の文章を読んで、あとの問いに答えましょう。
個性とは、よいとか悪いとか、いうものではない。よくも悪くも、その人間にとって、かけがえのない何か、取り替えのきかない何かが、個性なのである。
問一 何について書かれたものですか。
問二 個性について説明されている部分を書きぬきなさい。
問三 第一の文と第二の文とでは、どちらがより重要な文でしょうか。
【問三のヒント】 「個性とは、△△ではない。○○である。」とあるとき、「個性とは、○○である。」とまとめられます。
2 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。
ありとあらゆるものに、それぞれの名前をつけたということは、人間の大きな功績であった。ヘレン=ケラーは、幼いとき、ものに名前があることを初めて知ったおりの歓喜を、その自叙伝の中で感激に震えて書いているが、彼女はそれによって、初めて明るい認識の世界への第一歩を踏み出したわけである。名前を知らなければ、われわれは文字どおり何がなんだかわからない不気味な世界に住んでいることになるだろう。
問一 「それ」とありますが、何を指していますか。
問二 われわれがものの名前を知らなければ、どんなことになると筆者は考えていますか。
問三 筆者の最も言いたいことが書かれている一文を書きぬきなさい。
【問一のヒント】
【鉄則】指示語について
① 指示語の指し示す内容は、前の部分にあることが多いです。
② すぐ前の部分にないときは、その前、その前とさがしましょう。
③ 指示語の内容をとらえたら、それを指示語と置き換えて、文意が通るかどうかを確認しましょう。
3 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。
読書の効用は、知識を得ること以上に、物事を順序だてて考える訓練になるということだ。情報化時代は、われわれに 量の情報を提供してくれるが、その情報は断片的である場合が多い。個々の情報の意味は何か、その背景はどうなのかを整理するには、読書に頼らざるを得ない。
(朝日新聞社説「テレビ時代の読書」より)
問一 中心的に述べられているのは、どんなことがらについてか。次のア〜エの中から一つ選びましょう。
ア 情報 イ 情報化時代 ウ 読書 エ 知識
問二 「その」とありますが、何を指していますか。
問三 情報化時代において読書に頼らざるを得ないのは、どういうことについてだと述べられていますか。
問四 最も重要な一文を書きぬきなさい。
4 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。
自分の価値観を持ち、自身に問題を課すことは、他人が与えてくれた筋書きどおりに生きるよりはるかに苦労が多いかも知れない。しかし、レディーメードの人生観では、人生の意味も、生きがいも、結局は見失ってしまうはめになる。自分に替わる人間は、だれ一人としていない。人間は、本来、主体的に生きることしかできない存在なのである。
(注)レディーメード…既成の、出来合いの。
問一 「他人が与えてくれた筋書きどおりに生きる」とありますが、これと反対の内容を表す七字の語句を書きぬきなさい。
問二 他人が与えてくれた筋書きどおりに生きると、結局はどうなってしまうと筆者は述べていますか。 問三 最も重要な文を書きぬきなさい。
【問二のヒント】
「他人が与えてくれた筋書きどおりに生きる」と「レディーメードの人生観」とは類語(同義語)です。
【問三のヒント】
【鉄則】 接続詞について
「しかし・だが・けれども…」などの逆接の接続詞がある場合は、あとに続く部分が重要です。
5 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。
いったい幸福とは何であろうか。それはまず、私たちの生活のうえに考えられるものでなければならない。生をはなれて、幸福はないのであろう。しかしながら、ただ生きているというだけでは、私たちはむろんまだ幸福とは言われない。幸福な生活とは、「生きていていいなあ。」と思い、「人生は美しい。」と感じさせられる生活なのである。
問一 最も重要な一文を書きぬきましょう。